目やにとは、目を保護している粘液に古い細胞などの老廃物が混ざってできたものです。目のゴミを包んで、外に出す働きがあります。代謝によるものなので心配しすぎる必要はありませんが、このごろ愛猫の目やにの量が多くなって気がかりな方もいらっしゃるのではないでしょうか。もし、愛猫に大量の目やにがみられるときは、感染症やケガを負っていることが考えられます。
今回は、猫の目やにの原因として考えられる症状や病気、その対処法についてお伝えします。
正常な目やにと異常な目やに
1-1.正常な目やに
正常な目やには、量が少なく固まっています。白色・赤褐色からこげ茶色くらいの色合いが通常です。
1-2.異常な目やに
異常な目やには、片目のみ、もしくは両目で、目やにの量が多く粘り気がある場合です。そのような目やにが両目に確認できるときは感染症の疑いがあり、片目のみに確認できる場合はケガや異物によることが疑われます。
異常は量だけでなく、目やにの色にも着目しましょう。たとえば、緑色の目やにが付着していた場合、細菌感染症を起こしている可能性があります。普段から愛猫の目やにの量や、色から発せられる変化を見逃さないようにしましょう。
1-3.猫種による特有な目やに
エキゾチックショートヘア・ペルシャ・ヒマラヤンなどの鼻が短い短頭種は、目と鼻をつなぐ鼻涙管と呼ばれる管が狭かったり詰まりやすかったりします。そのため、涙があふれやすく、ほかの種と比べ子猫のころから慢性的に目やにをみる機会が多いです。猫の涙は光にあたると赤茶色になるという性質があり、赤茶色の目やにがたまりがちになります。
目やにが増加する病気
目やにが増える病気は、大きく2つの要因があります。それは涙の量が増えていること、そして、炎症により活動して役目を終えた白血球が目やにとして溢れ出ていることです。
猫の目やにが多くなってしまう病気として挙げられるのは、目にほこりが入ってしまったような軽症のものから、失明につながる重症のものまで幅広くあります。下記は代表的な一例です。
2-1.猫風邪
目やにがくしゃみ・鼻水・涙・咳などの症状と一緒に発症しているならば、猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルス・クラミジアなどの、ウイルス感染によって引き起こされています。室内飼いをしている猫でも、飼い主が外から持ち込んだウイルスによって発症する場合があるので、注意しましょう。大量の目やにによって目を開けられなくなり、放置すると状態が悪化して失明する恐れがあります。
2-2.結膜炎
まぶたの裏から白目の表面を覆っている結膜が炎症を起こすと、白目の充血・痛みやかゆみをともない、涙や目やにが多くなります。砂やほこりといった異物、そしてケガやアレルギーなどが炎症を起こす原因です。
異物やケガで引き起こされる細菌性結膜炎は、両目もしくは片目のみ白っぽい目やにがみられます。また、重症時には粘り気ある黄色の目やにが増えます。アレルギー性の結膜炎は、両目から透明な涙が出たり、目頭に赤茶色の目やにが多くたまったりという症状が特徴的です。
2-3.角膜炎
黒目の表面を覆う角膜の炎症は、結膜炎と同じく目にかゆみや痛みの症状を引き起こします。原因として異物が入り込んでしまったり、目をこすって傷をつくってしまったり、涙が少なかったりすることが原因です。重症になると、目が白く濁ります。角膜へ刺激が続くと、場合によっては失明につながる可能性もあるので、早期に治療を行いましょう。
2-4.流涙症
鼻が短い短頭種がかかりやすい病気です。涙があふれ顔に流れ出てしまい、涙やけや鼻の横にできる湿疹により、目頭から鼻の脇にかけて覆われている毛が汚れ、変色します。角膜炎や結膜炎が原因となって、引き起こされる症状です。涙の量と目やにが増え、湿疹ができることもあります。短頭種以外の猫も発症する可能性があるので注意しましょう。
自宅でできる目やにの処置
3-1.拭き取り方
目やにがあると目が開きにくくなり、まぶたが炎症を起こす可能性もあります。ぬるま湯でふやかしながら、優しく拭き取ってあげましょう。拭き取るのは清潔なコットンやタオルがおすすめです。固まって取りづらいときは、濡らしたガーゼなどで数秒おいて取りやすくしてから拭き取りましょう。
もし、可能なら拭き取った目やにを保管しておき、診察時に見せることで治療がよりスムーズに行えます。
3-2.その他注意点
別の猫と接触させないことはもちろん、猫クラミジアによる感染の場合は飼い主にも感染する恐れがあります。できるだけ目やにに触れないようにし、拭き取り後は必ず手を洗うことが大切です。
猫が目元を触ってしまうようならば、エリザベスカラーをつけます。そして早めにかかりつけの病院に受診しましょう。
まとめ
目やにの量や状態が普段と異なるときは、かかりつけの病院へ相談することが適切です。とくに猫は目の病気にかかりやすい動物なので、たかが目やにと思わずに、病気かもしれないと気になったら診察することがおすすめです。
すみれペットクリニックでは、猫の一般診療や健康診断、予防接種、手術も行っております。愛猫になるべく怖さや負担を感じさせない処置を心がけると同時に、飼い主さまにご不安を与えないよう、治療内容に関するわかりやすい説明に努めております。もし愛猫の体調に違和感や心配を覚える場合は、どんな些細な内容でもかまいません。どうぞお気軽にご相談ください。
